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工場現場でカメラを使ったIoT活用方法を知りたい方へ

IoT

工場現場でカメラを使ったIoT活用方法の事例を知りたいと思いませんか?AIとか使うのはハードルが高いので、もっと敷居を下げて簡単に使う方法を知りたいという方にイベント(スマート工場EXPO)の講演に参加してきた内容と特徴について紹介します。

本記事の内容

  • カメラを活用した工場現場でのIoT活用事例
  • 本活用事例の特徴と適用の考え方

IoTは聞いたことはあるけれど工場での活用事例を知りたい方や、IoTをどのような場面で使うことが適切なのかについて知りたい方は是非、ご覧ください。


カメラを活用した工場現場でのIoT活用事例


東京ビッグサイトで開催されたスマート工場EXPOに行ってきました。このイベントは、スマート工場・スマート物流を実現するためのIoTソリューション、AI、FA/ロボットなどの最新技術が一堂に出展される展示会です。

主催者サイト報告:https://www.sma-fac.jp/ja-jp/about/previous.html

2020年2月13日に開催された以下の講演を聴講しました。

既存インフラを生かすリコー流インダストリー4.0 具体化事例
リコーインダストリー(株)執行役員 菅野 和浩様 講演

▎生産現場の課題とは?

生産現場では多数の従業員がさまざまな工程を経て、ものづくりが進められます。
生産品質、生産効率を上げるための一番のネックは、生産工程でのばらつきをいかに抑えることが出来るかが課題だ、とリコーの菅野様がお話されていました。

ばらつきの発生については原因の特定が困難であり、人手での原因分析には限界があったとのことです。
特に大きな要因として以下を挙げておられました。
・人手作業については、ばらつきの把握が難しい
・古い設備からのデータ吸い上げが困難
・量産の立上げフェーズでは多く人手投入が必要

生産現場での課題を象徴していると思います。

▎差分検知に着目!

課題の解決策として、組立て作業を中心にばらつきの自動検出ができないかという点を着眼点とされました。そしてアナログ現象を複数のカメラで撮影するとともに、自動的にばらつきを検知する手段としてIoTの活用が検討されました。

その結果、カメラで撮影した画像を時系列で差分検知することで変化点を把握する、という手法が考案されたということです。
具体的には、カメラの画面上で検知したい任意の箇所を範囲指定します。この範囲に物体が通過したり、特定の色の物体が検知されたタイミングをとらえます。複数のカメラを使って統合してデータを可視化することで変化した動きの特徴をとらえることができます。

この施策により、これまで映像だけを見ても感覚的にしか判らなかったものが、作業者や設備の動きを定量的に把握することが出来るようになりました。その結果、無駄がないかの検証や、熟練者の動きを捉えてお手本とすることが可能になり、ばらつきを抑えた生産を実現されています。

まさに、カメラメーカならでの、画像の活用にこだわったIoTの使い方だと思います。

▎ソリューションとして商品化

これらの取組みは、「オールラインレコグナイザー(ALR)」という名称でリコーから製品化されています。IPカメラ8台とハブ、ソフトウエアをセットとしたパッケージで販売され、解析に役立つソフトウエアもオプションで用意されているので、使い勝手が良さそうです。

既に海外を含めて外販されており、採用実績も積みあがっているとのことでした。

製品の詳細は以下のサイトを参照ください。

https://industry.ricoh.com/alr/


本活用事例の特徴と適用の考え方


▎シンプルなアイデア

カメラを活用したIoTソリューションはいろいろと出ています。しかし、最近では画像、映像の活用についてはAIとの相性が良く、何でもAIを活用したソリューションを取り入れる傾向があると思います。

しかし、差分検知という極めてシンプルな発想から、ばらつきを検知するアイデアはたいへん優れていると思います。
IoTではいろいろなことが出来ますが、初めから凝ったものを実現しようとすると、柔軟な変更に対応しきれず、破綻してしまう場合があります。
最初は小さく、シンプルに始めて、うまくいくことを確認しながら拡げていくことがIoTの活用の鉄則です。その点では、このカメラソリューションはシンプルな故、とても使い勝手が良いと思います。

 

▎広い適用範囲

アイデアがシンプルである、ということはソリューションの適用範囲も様々な用途がありあそうです。

先に説明したばらつきを抑える効率化の手段としてだけではありません。
変化が起こった時点の他のカメラ画像を記録しておくことで、問題発生時の原因分析が可能になる、特定のエリア(危険区域等)へ侵入した場合に警告を表示(鳴動)する、といった活用方法も紹介されていました。工場内でもさまざまな活用用途があると思います。

 

▎まず、課題の明確化

これから新たに現場で適用するにあたっては、どのように進めるべきでしょうか?

差分検知が可能な箇所を探して、一生懸命適用するためのセッティングを行い、結果判ったところで「確かにそうだよね…」だけで終わっては何の効果もありません。

まずは解決したい課題を明確にすることです。作業効率に課題が見えているため、改善の糸口をつかみたい、とか現場で物の移動が適切に行われているのか検証したい、といった困りごとの明確化が必要です。
また、効果や成果が生まれる適用方法を事前に検討しておくことも重要です。

もちろん「まず、やってみる」ということも必要であり、試行錯誤で生まれてくる成果もありますが、その場合でも仮説として、結果を想定し、考えておくプロセスが重だと思います。


まとめ


差分検知というシンプルな技術で、小さく早く回して成果を出していくことができそうです。工場に適用するIoTは、シンプルな構成で小さく早く進め、良くも悪くも結果のフィードバックを短期で回していくことが成功の近道です。

課題の設定や、効果が得られるIoTの活用方法でお困りのことがあればパイロテージにご相談ください。

 

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