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社会課題の解決に貢献するIoTの活用事例

社会課題の解決に貢献するIoTの活用方法やユースケースについて知りたいと思いませんか?
IoTは基本的な部分は非常にシンプルですが、活用方法によっては大きな価値が提供できることを分かり易く紹介したいと思います。

*本記事の内容
 電子タグを活用した取組み
 ・経産省主導の個品管理の取組み
 ・解決すべき社会課題
 ・電子タグのメリット
 ・電子タグ活用による商品の流れと業務形態
 ・電子タグ活用の効果
 既に実現されている事例
 ・ユニクロの電子タグ化の取組み
 ・生産から販売まで一気通貫で電子タグを適用
 まとめ

IoT は知っているものの活用方法のイメージが分らない、IoTは効率化に多少は寄与する程度との認識はあるものの、大きな効果を得られる活用方法を知りたい方は是非、ご覧ください。


電子タグを活用した取組み

▎経産省主導の個品管理の取組み

経産省とコンビニ5社は、商品に電子タグを貼付け個品管理を実現する、という趣旨で2017年4月に宣言がされています。これは、2025年までに全ての取扱商品(推計1000億個/年)に電子タグを貼付け、社会課題の解決に向けて取組む、というものです。対象コンビニは、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズです。詳細は以下の経産省のサイトに掲載されています。

https://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170418005/20170418005.html

 

▎解決すべき社会課題

この取組みにより解決すべき社会課題は以下の2点です。

・労働力不足
24時間営業の問題を含め、小売業は、少子高齢化の影響を受け、人手不足と労務コストの上昇に直面しています。今後、ますます少子高齢化が進展し、2030年には65才以上人口割合が30%を超える時代が想定され、労働力不足は大きな社会課題となっています。

・食品廃棄ロス
コンビニ業界では大量生産、多頻度配送を通じてロジスティクスについては高度に効率化されてきましたが、一方では、消費期限切れ等の食品廃棄ロスが大きな課題です。日本では、年間の食品廃棄物が2,842万トン、このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品ロスは、646万トンもあるのが現状です(2016年実績)。

 

▎電子タグ(RFID)のメリット

電子タグ(RFID)とは、無線を利用して、非接触で電子タグに格納されたデータを読み書きする技術です。以下のような形態で、電源不要でデータを格納でき、無線で読み書きが可能です。

商品識別には従来バーコードが用いられてきましたが、バーコードと比較して書込めるデータ量が豊富で、何よりも個品管理が可能であることが特徴です。例えば商品ごとに製造年月日やシリアル番号を格納できます。また、複数の電子タグを離れたところから一括読取りが可能であるため、業務の自動化や管理の効率化が可能になる点も特徴です。

 

▎電子タグ活用による商品の流れと業務形態

電子タグは商品の上流から活用することで大きな効果が期待できます。物流全体の流れと提供価値を以下の図に掲載しました。

コンビニ等の店舗で販売する商品は、製造メーカーから物流を経由して店舗に納入、個別のお客様(個客)へ販売、といった流通経路が一般的です。この一連の経路で、商品の管理、販売に関わる多くの人手作業が発生します。
電子タグを活用すると、製造メーカーで電子タグに個品情報が書き込んで物流ルートに流します。以降はそれぞれの工程で商品情報を電子タグから読み取ることで、入出庫の自動検品、在庫管理、レジ業務といった人手作業の自動化が可能になります。

また、電子タグの情報はクラウドで情報を一元管理することで、製造メーカーでは末端の個客までの商品のトレーサビリティを確保することができ、品質管理に大きく貢献します。また、商品ごとに店舗での消費期限管理も可能となることから、ダイナミックプライシングを適用することで廃棄ロスの大幅削減が期待できます。

 

 

▎電子タグ活用の効果

以上の効果をまとめると、流通経路においてメーカー、倉庫、店舗で従来必要であった各作業(下図の①~⑦)については、省人化されることにより労働力不足の解消に寄与します。また、個品単位でトレーサビリティが確保されるため、廃棄ロスの削減に大きく貢献します。さらに消費傾向を分析することで需要予測による生産量の最適化、顧客志向分析によるサービス向上も容易になるでしょう。これらは、まさに社会課題を解決する価値を提供しています。

 

 


既に実現されている事例


 

先の例は、2025年の実現を目指した取組みになりますが、電子タグを活用して既に店舗で実現している事例について紹介します。

 

▎ユニクロの電子タグ化の取組み

ファーストリテイリングでは、2018年春夏商品から全商品を対象に電子タグ(RFID)が付与されています。
電子タグには、商品の個品情報として、色柄・大きさ・価格・製造時期・素材といったさまざな商品情報を埋め込むことが可能です。具体的には、衣料品に付いている商品タグの中に以下のように電子タグが埋め込まれています。

*流通ニュース 流通最前線/2018年10月17日 より引用

 

▎生産から販売まで一気通貫で電子タグを適用

ユニクロでは、生産から販売までのサプライチェーンを全て自社で構築しています。従って、生産段階から電子タグを付与することは比較的容易に実現できると想定します。以下は、ファーストリテーリングでの決算発表での説明資料ですが、先のコンビニの取組みと同様な効果が期待できます。特にユニクロのようなワールドワードで莫大な生産量と店舗数を構える企業では、その提供価値が及ぼす効果は絶大なものになると想定されます。

 

ユニクロでの電子タグを活用したサプライチェーン

ファーストリテーリング 2018年8月期 期末決算説明資料

 

まとめ


IoT は適用箇所や活用のやり方次第で大きな価値を提供し、社会課題の解決にも貢献します。ただし、IoTの適用箇所が無いかを検討する、というアプローチではなく、課題設定が最も重要であり、その解決手段としてIoTが得意な使いどころを小さく始めて試していく、という方法で進めていくのが近道です。


IoTの活用方法でお困りのことがあればパイロテージにご相談ください。

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