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圧倒的な差別化を図る IoT の活用方法

圧倒的な差別化が図るIoTの活用方法とはどんなものがあるのか知りたいと思いませんか?
IoTの基本は非常に単純ですが、高い効果が期待できる高度な活用方法について、分かりやすく紹介したいと思います。

*本記事の内容
 IoTの活用方法の基本と応用
 ・IoT活用の基本は見える化から
・IoTによる活用が期待されるトレーサビリティ管理

 ・48時間から2時間へ
 圧倒的な差別化を図るトレーサビリティ管理
 ・課題
 ・従来の取組み
 ・解決のアプローチ
・IoTを活用した解決策

 ・IoT活用の効果
 まとめ

IoTは言葉としては聞くけれど、活用方法のイメージが分らない、あるいは、IoTといっても「多少の効率化が出来る程度」との認識で、大きな効果を得られる活用方法を知りたい方は是非、ご覧ください。


IoTの活用方法の基本と応用


▎IoT活用の基本は見える化から

IoTは、センサー等を活用してあらゆるモノを見える化する技術です。例えばアップルウオッチは「人体」の情報を見える化するIoT製品でもあります。また、ノギス、マイクロメータといった「測定器」をIoT化することで測定した情報を自動的に見える化することが実現できます。
この話は以下の当方のブログでも説明していますのでご参照ください。

日経新聞が語るIoTの活用状況と今後の取組みのポイント

このように、IoTはあらゆるモノを見える化する、つまりデータ化することが基本になります。データ化されることでコンピュータで扱う(IT化)ことが可能になり、様々なアプリケーションが活用できます。

では、このアプリケーションの活用とはどのような用途があるのでしょうか?

 

▎IoTによる活用が期待されるトレーサビリティ管理

IoTの活用が期待される用途のひとつとして、トレーサビリティ管理があげられます。

トレーサビリティとは、原材料の調達段階から、生産・製造、そして消費者の手に渡る(廃棄)までを追跡できる状態のことを指します。これにより、食品や製品に問題が発生した場合でも速やかな対応ができるようになります。

トレーサビリティが広く知れ渡る契機となったのは、アメリカで発生したBSE(狂牛病)問題です。2003年にアメリカで発生した乳牛のBSE問題をきっかけに、牛に個体識別番号を付け、生年月日・性別・飼育者などの情報を一元管理する、いわゆる「牛肉トレーサビリティ法」施行されました。以来、国産牛肉には、流通や小売り段階においても個体識別番号が表示されるようになり、「トレーサビリティ」という言葉が日本に浸透しました。

製造業においても、同様に部品レベルのトレーサビリティの管理が求められます。

家電製品やガス機器などの事故や不具合が発生すると、ニュースでも大きく報道され、近年では、小さな不具合からリコールに発展する場合も多く、製造業においても消費者の安心・安全に対する意識は年々厳しさを増しています。
特に、人命にかかわる製品においては、製品に欠陥や不具合といった品質問題が発生した際には、速やかに有効な対策を講じなければ、消費者はもちろん、取引先にも影響が及ぶことになり兼ねません。

 

▎48時間から2時間へ

2020年1/15に実施されたネプコン ジャパン(東京ビッグサイト)のセミナーでは、シーメンスの方が登壇されスマートファクトリを中心に自社の成功事例をはじめ、インダストリ4.0の取組みについて講演をされていました。

このなかで最近の傾向として、EV(電気自動車)化の進展に伴ってトレーサビリティの高度化が求められるようになったとのお話をされていました。以前は部品ベンダーで不良が発見さた場合に、納入元へは48時間以内の詳細報告が求められていました。ところが、最近では2時間以内の報告が必要になっている、とのことでした。

2時間を実現するには、従来延長のやり方では到底実現できるものではなく、新しい取組みが必要になります。


圧倒的な差別化を図るトレーサビリティ管理


 

一例として、部品ベンダーから部品を納入してエンジン等のパーツを製造する一次請け工場が、生産した製品を親会社に納入することを想定し、トレーサビリティに関する課題とIoTを活用した改善アプローチについて説明します。

 

▎課題

工場で製造した製品に不具合が発見された場合には、納入先に不良状況を迅速に報告する必要があります。これは、現在製造中の製品のみならず、既に納入した製品についても不良が混在した可能性を含めて報告の必要がありますが、短時間で精度の高い状況把握が課題となります。

 

▎従来の取組み

不具合が発生した場合には不良部品の特定のみならず、その不良が混入した原因、対応ロットと対象部品の出荷状況、生産工程の状況や検査の履歴、等あらゆる情報を収集し、波及範囲の特定や原因の除去に努める必要があります。並行して納入先に対しても調査の状況を逐一報告する必要があります。

これらは、ある程度IT化され、情報管理がされている工場であっても、現場の状況についてはまだまだ手書きで紙ベースの管理であったり、作業履歴等は十分に取られたいない場合が多いのではないでしょうか?

 

▎解決のアプローチ

特に現場の作業については、IoTを活用することで容易に実現することが可能です。

現場で作業履歴として残しておくべき項目を決め、それらにIoTが適用できないかを検討し、作業現場での実績をリアルタイムでデータ化することで、作業実績を自動的に残すことが可能になります。作業者や作業対象の部品は、バーコード等で現場で入力することで部品と作業の対応付けが可能になります。

 

▎IoTを活用した解決策

以下に一例として、自動車部品の生産工程とトレースすべき項目例を挙げてみました。生産管理のITシステムと連動して、特に赤字の項目がIoTを活用して現場で作業結果を吸い上げることで自動的に情報を格納し、トレーサビリティを確保することが可能になります。

 

上記の情報をIoTを活用してどのように収集するかについてまとめたものが下表になります。例えば、どの程度の力でナットを締めたのか、といった作業履歴については、専用工具(デジタルトルクレンチ)を使用することで、無線経由で個別のナットごとにトルク値の情報を収集することができます。

 

▎IoT活用の効果

これらのトレースデータを活用することで、納入した完成部品のそれぞれについて、どのような素性で生産されたかの生産履歴の情報を瞬時に取り出すことができます。
また、特定の部品に不具合があった場合には、トレースデータから、対象ロットの部品が使用された出荷(納入)製品の特定や、生産仕掛かり中となっている製品についての個体情報を得ることが可能になります。

このようにIoTを活用することで、不具合発生には短時間で状況把握が可能となり、納入先にも迅速な報告が可能となります。また、生産工程における品質管理や生産効率の改善の取組みについても、データ化され、見える化された生産システムは、活用次第で大きな価値提供が期待できます。

納入元の視点からは、不具合発生時に短時間で報告可能な体制を持っているベンダーとそうでないベンダーでは、最終顧客に対する品質確保の観点からも圧倒的な差別化になることは言うまでもありません。

 

まとめ


IoTは現場での作業を見える化し、データ化することで大きな価値を提供することができます。ただし、何でも見える化するば良いわけではなく、目的、価値を明確にし、小さく始めて効果を確認しながら進めていくことがゴールへの近道となります。

IoTの進め方でお困りのことがあればパイロテージにご相談ください。

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